大学生向けに米国で出版された韓国史の教材で、慰安婦の説明が「歴史をわい曲している」と複数の韓国メディアが指摘している。
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米国では、昨年12月に米ハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授が「慰安婦=売春婦」とする論文を発表した。「慰安婦は売春宿の業者と自発的に交渉を行い、契約を結んだ」、「『慰安所』の制度の責任はあくまで朝鮮人業者にあり、日本軍や政府にはない」などとしたもの。韓国で定説となっていた「慰安婦=性奴隷」説を否定したわけだ。
いまだ論文に関する論争が冷めやらぬ中、この論文に同調する内容の教材が、日系米国人の学者によって同時期に出版されていた。
その教材は米国の教材専門出版社「コネラ・アカデミック・パブリッシング」が昨年12月に出版した「東アジアでの韓国の形成:韓国史」(The Making of Korea in East Asia: A Korean History)。古代朝鮮から21世紀までの韓国の歴史を扱っている。ハワイ大学のチズコ・アレン博士が執筆した。
教材では慰安婦について「一部の女性は朝鮮人の仲介人にだまされたり拉致されたりしたが、それ以外の女性は自ら売春し、家父長制度の下で親の借金を返すために前払い金を受けて、2、3年間売春をするという契約書に署名した」などと解説している。
また、当時の状況について「ブローカーが、貧しい朝鮮人の家庭から女性をあっせんする方式を取った」、「1930年代、朝鮮人の売春ブローカーらは、より多くの利益を得るために朝鮮人の売春婦を満州や日本、中国に送った」と記述している。
アレン博士は2016年にも慰安婦関連の論文を発表したほか、ことし3月には米国で開かれたアジア学会で、太平洋戦争中の強制徴用を否定した。
出版された教材は、現在、インターネット通販サイト「アマゾン」のほか、米国最大の書店チェーン「バーンズ・アンド・ノーブル」などで販売されている。
韓国メディアの殆どはこの教材について、「慰安婦問題を『売春業者』と『予備売春婦』間の契約行為だと規定したハーバード大ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授の論文『太平洋戦争の性契約』とそっくりだ」と主張中だ。教材が出版されたことで「わい曲された歴史認識が米国内で広まりかねないとの懸念が出ている」と伝えている。
ラムザイヤー教授が論文を発表した際には、韓国はもとより、米国でも波紋を広げた。ラムザイヤー教授と同じハーバード大学ロースクールの同僚、韓国系の米国人ジニ―・スク・ガーゼン(Jeannie Suk Gersen)教授は、米国の有力雑誌「NewYorker」で反論した。「NewYork Times」や「CNN」など大手米メディアも報じた。
こうした中、今月3日には元慰安婦がまた1人この世を去った。女性は生前、日本に13歳の頃に連れていかれ、山口県の紡績会社で働いた後、広島県で慰安婦にされたと証言していた。証拠や証人はいない。
今回、ラムザイヤー教授の論文に同調する内容の教材が出版されていたことが明らかになったことで、慰安婦問題をめぐる論争がさらに過熱する懸念もある。これが大変な状況になっている日韓関係を更に悪くすると予測しているからだ。
しかし、この論争が必要不可欠なものである。30年前、韓国「正義連」の前身「挺対協」や日本の運動家たちがこの問題を提起した時、日本の政治家は熾烈な検証もなく、日韓関係のためだと、この問題に蓋をしてしまった。
整理・整頓される前に蓋の下に潜ってしまったこの問題は、この30年間、変異をし続け、今や日韓関係をもっと苦しめている。これ以上は韓国と日本の未来世代に負担を残してはいけない。この際、学問的な論争を徹底することで、慰安婦の真実を明らかにしないといけない。
学問的な検証を続ける同時に、法律的な検証も続ける必要がある。過去、慰安婦だったことを韓国政府に届け出た240人の元慰安婦は徐々に亡くなり、今は14人しか生き残っていない。日韓関係の未来のために、残された時間はあまり長くない。
韓国政府と日本政府は、その14人の中の一人であり、「慰安婦の顔」でもあるイ・ヨンス(李容洙)さんが自ら願っている「国際司法裁判所」(ICJ)付託の要請に素早く応じ、裁判による決着を進めるべきである。
「補償・賠償」の問題なら1965年の条約と2015年の合意により、もう日本の問題ではないと言われるかもしれない。正にその通りである。しかし、英霊の「名誉回復」の問題や「未来世代」の問題は、日本と韓国に共通する問題である。
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